高血圧の疫学
日本での高血圧者は、約4000万人にのぼり、血圧が高いほど、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、心筋梗塞、慢性腎臓病などになりやすく、死亡率が高くなります。
若年者から高齢者においても、血圧値が高い人ほど循環器疾患になりやすく、死亡率が高くなります。メタボリックシンドロームないしリスクの集積している人も循環器疾患になりやすく、死亡リスクは、そうでない人に比して1.5-2.4倍高くなります。
国民の食塩摂取量は、1日11g程度で食塩摂取量の多い状態が続いています。
高血圧未治療者の割合は高く、30-40歳代の若年者では8-9割にのぼります。
高血圧者のうち、約半数は管理不十分な状態で、より強力な高血圧管理が必要な現状です。
収縮期血圧(高い方の血圧)が2mmHg低下すれば、脳卒中罹患率は約6%、狭心症や心筋梗塞の虚血性心疾患は約5%減少すると言われていります。
治療の目的
治療の目的は、高血圧の持続によって引き起こされる心臓と血管の障害に基づく心血管病(脳卒中、狭心症、心筋梗塞、心不全、急性大動脈解離、慢性腎臓病等)の発症、進展、再発を抑制して死亡を減少させ、高血圧患者が充実した日常生活を送れるように支援することであります。
治療の基本方針
治療の対象は診察室血圧130/80(家庭血圧125/75)以上の方です。血圧が115/75mmHg以上の場合には血圧の上昇とともに心血管死亡が増加することがわかっております。
高血圧症には、原因が明らかでない本態性高血圧症と何らかの原因がある二次性高血圧症があります。どちらかであるかを診断するためには、症状がないか、身体所見に異常がないかを見極め、血液検査が必要となります。高血圧症の約90%以上は本態性高血圧で、通常、無症状であります。
次に家庭血圧測定を指導して、血圧の程度を明らかにします。
さらに、血圧により心臓や他の臓器に障害が引き起こされていないかを確認するために、胸部レントゲン検査、心電図、血液検査、心臓超音波検査(心エコー図検査)、24時間心電図検査、頸動脈エコー検査等が必要になります。
治療としては、二次性高血圧であれば、その原因疾患の治療をし、本態性高血圧症であれば、生活習慣の修正で経過観察する場合から、血圧の程度や脳血管リスクの程度で直ちに降圧薬での治療が開始される場合があります。








Hypertensive Hypertrophic Cardiomyopathy

  • 高血圧症により引き起こされた心疾患。
  • 心エコー図法では、高血圧性心疾患で注意が必要な所見の計測、分析を行います。
  • また、心機能分類を行います。